マイナーボカロ曲解釈ブログ

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永遠に繰り返される日常?架空の家族【電キ鯨】の歌詞を考察をしてみた!

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一般ボカロオタクです。

 

今回は電キ鯨さんの架空の家族を考察していきたいと思います!

 

↓↓↓本家はこちら↓↓↓

架空の家族(うた:可不)

https://youtu.be/bQ8s4Jl3hoc

 

電キ鯨さんは代表作「クーネル・エンゲイザー」を皮切りに一躍人気になったボカロPです!

有名な音楽ゲーム「チュウニズム」にも最近電キ鯨さんの楽曲が提供された為、知名度は以前より更に上がっています。

独特な曲調が特徴的であり、"界隈曲"と呼ばれています。どんな曲があるかは界隈曲で調べると色々出てくると思うので是非聴いてみてください。

 

また、今回歌詞の考察を行う架空の家族は、

電キ鯨さんの楽曲集 「眠りもあさいままで」 の

収録曲です!気になった方はそちらも是非検索されてみてください!

 

歌詞の考察に入る前にまずこの曲の世界観から説明していく必要があるのですが、MVは全編ローポリ3Dで作られており、PlayStation辺りの画質を彷彿とさせます。

また、前奏で表示されるタイトル画面でも

何となくわかる通り、この曲の登場人物は全員ゲームの中のキャラクターであることが分かります。

 

また、これは個人的な考察になるのですがこの曲、元ネタとなるゲームがあると思っていて、それは

 

ぼくのなつやすみ」(PlayStation)

です。

 

根拠がいくつかあり、

①タイトル画面の構成が似ている

②MVとぼくなつの3Dポリゴンが明らかに意識されているレベルで似ている

 

これだけでは根拠として足りないと思うのでこのゲームに関するとあるバグを紹介します。

 

本来、このゲームは8月31日が終わるとエンディングを迎えて終了するのですが、あるバグ技を使うと存在しない8月32日、またそれ以降もゲームが停止するまで永遠に遊べるというバグが存在します。

 

勿論、8月32日なんてデータは存在しないわけですから正常に遊べる訳ではなく、日を重ねるごとに文字化けやテクスチャの崩壊、登場人物の消滅などが起こってしまうわけなのですが、この曲はそんな永遠に繰り返される狂った日常をテーマにしているのではないかと考えました。

この辺の根拠は歌詞の考察と共に後々説明していこうと思います。

 

この曲の主人公はそんな永遠に繰り返される日常を

「演じざるを得なくなっている」

という救いようのない状況下におかれており、そんな主人公の気持ちを綴った曲だと推察します。

 

長くなりましたが早速考察に入っていきましょう!

 

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嘘ばっかりでごめんねと いまさら小さくこぼすけど
もうどうしようもないから、好きなだけ泣きなよ。

どんなに透明になっても いまだにちゃんとある身体を
たくさん抱きしめては 怯えるばかり ずっと…

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「嘘ばっかりでごめんね」というのは主人公の台詞でしょうか。この繰り返されている日常が自分達にはどうしようもない、辞められないと分かっており主人公は泣くしかありません。

「どんなに透明になっても いまだにちゃんとある身体」というのは、

先程説明した「ぼくのなつやすみ」32日目以降のバグで引き起こされているテクスチャの崩壊で、自分の身体が透明になっているものだと推察されます。

実際のプレイ動画でも数日経つと主人公の身体は透明になっています。

主人公は自身の体が透明になっていていつかこのまま消えてしまうのではないかと、確かに自分の体がまだ存在していることを抱きしめて確かめながらずっと怯えています。

 

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赤くて長い帰り道に影だけすーっと深くなる
僕たちはいつまで「しあわせ」に殺される?

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前半の歌詞は夕方になり、家族が帰ってきてまた「日常」が始まることを表しています。

繰り返される穏やかな日常。傍から見ればそれは「幸せ」なことなのかもしれません。

しかしこの家族はゲームの中に存在しており、無いはずの「日常」を強制的に延々と繰り返させられています。これは「幸せ」に見せかけた偽りの「しあわせ」でしかありません。

主人公はそんな繰り返される日常がいつ終わるのか、ずっと嫌気が差していました。

しかしそんな主人公の気持ちは汲み取られることもなく、無慈悲にこの日々は繰り返されます。

 

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優しい灯りの灯る家に架空の家族が待っている
疲れた僕を暖炉の部屋で迎えてくれる
優しい父母と妹役が腐った夕餉を待っている
鉛のとろけたスープの前で 笑わなきゃねぇ、僕は...

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前半の歌詞は、「優しい灯りの灯る家」「暖炉の部屋」と、やたらと暖かみが表現されていますが、人為的に繰り返されているものなのでそんなもの紛い物でしかありません。しかもMVでは家の背景は暗く、暖炉にも火はついていません。皮肉ですね。

また、後半の歌詞は対称的に「腐った夕餉(ゆうげ)」「鉛のとろけたスープ」と冷たい表現がされています。

また主人公が「父母と妹役」と表現しているのは、主人公以外のキャラクターはゲーム上ではNPCであり、プログラムで予め決められた役割しかできないからだと思われます。

「僕」も役割になりきる為に皆と一緒に笑います。

本当は嫌だけど。心から笑えないけど。

 

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その夜 こころが小さくうめいては 潰れて散った音も全て笑い声にまみれて 伝わることはないよ

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そんな日の夜、主人公の心はこの歪な日常に耐えきれず、とうとう潰れてしまいます。

しかしそんな事も家族団欒の笑い声に全てかき消されて届くことはありませんでした。

 

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期限の切れた晩御飯を階下でずーっと呼んでいる
四角い部屋でまた「やさしさ」に殺される

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「期限の切れた晩御飯」という歌詞は、本来8月31日で終わるはずのゲームが32日以降も続いてしまって、本来切れるはずのない賞味期限が切れてしまっていることを表現していると思われます。

また偽りの家族の、偽りの「やさしさ」に主人公の心が少しずつ殺されていきます。

 

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いとしい祖母役がしおれた目で 僕のことじっと見ているから 

ぐぷり、とただれたスープを匙ですくって飲んでいく

ねえ昼だって鈍い色で食卓を覆ってしまったのは

しあわせに似せただけの いびつなまがいものなんだよ

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「いとしい祖母役がしおれた目で 僕のことじっと見ている」とありますが、MVでは祖母の顔はぐちゃぐちゃに塗り潰されており、見ることはできません。

これもバグの影響なのでしょうか。それとも「僕」の精神状態がおかしくなってしまったのか。

萎れた目で見られている為、悲しい思いをさせないように「僕」は爛れたスープを食べます。

(ただれているのもバグの影響なのでしょうか)

 

「僕」は、この狂った世界の真実を理解しているのか、この日常を「幸せに似せただけの歪な紛い物」と表現します。

 

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さあ!灯りの灯る家に架空の家族が待っている
温度があるのにひどく寒い住居でずっと待っている
もう終わり そんな言葉も意味ないくらいに終わったあと
それでも、ひきつってても、嘘でも 笑わなきゃねぇ、僕は...
架空の家族が待っている!

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しかし、そんな事を理解してもこの日常が終わるわけではありません。

物理的には温かくても、心は冷えきったままです。

そんな家庭に主人公は今日も帰ります。

引きつってても、嘘でも笑わなきゃ…と主人公は今日も一家団欒の「しあわせ」を演じます。

 

このゲームがプレイされ続ける限り、この曲が誰かに繰り返し聴かれる度に「僕達は」この狂った日常から抜け出すことはできません。

きっとこれからも、永遠に救われることはないのでしょう。

 

 

 

長くなりましたが読んでいただきありがとうございました!

この元ネタを知ってからこの曲を聴くと、受け取り方がガラッと変わりますね!

 

この曲の他にも色んなボカロ曲の考察を行っているので、気に入ってくれた方は是非

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